倉敷酒工房 渡辺酒造本店の渡辺酒造の酒造りです

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蔵元情報

渡辺酒造の酒造り

渡辺酒造の酒造り
精米から搾りまで

渡辺酒造の酒造り渡辺酒造の酒造りは毎年寒さ厳しい真冬から始まります。
酒造りに適したお米は大粒で、デンプン質に富んだお米です。 岡山では幻の米とまでいわれた「雄町米(おまちまい)」が酒造好適米として有名ですが、「朝日米」のように食用米でも酒造りに適したお米もあります。酒造好適米は、食用米と比べるとタンパク質の含有量が低く粘り気が少ないので米の中心部(心白)が大きく吸水性に優れており、麹が育ちやすので発酵にも適しています。

玄米に含まれるタンパク質や脂肪などは酒の味、香り、色に悪影響を及ぼす成分であるため、精米することによってお米の外側を削り取り、中心部分のデンプン質だけにします。
家庭で食べられているお米は精米歩合90%の白米ですが、良いお酒に使われるお米は60%~40%と精米歩合が低く、一般白米の半分以下の量になるまで精白したものが用いられます。精米歩合によって造られるお酒の種類も異なり、大吟醸酒を造るためには精米歩合50%以下になるまで精米しています。

剥離と隔離を同時に行うジェット水流洗米

  • 剥離と隔離を同時に行うジェット水流洗米
  • 剥離と隔離を同時に行うジェット水流洗米

白米の糠(ぬか)分を水で洗い落す事を「洗米(せんまい)」と言います。 洗米することにより、さらに1%~2%の精白効果がみられます。渡辺酒造で行われている洗米は最新鋭のジェットポリッシャーのジェット水流で糠を剥離しながら、同時に糠や汚れ分の隔離を行なっています。水で研いでいるのでお米を傷めず研ぎムラもありません。

全ての工程に使われる蒸米

  • 全ての工程に使われる蒸米
  • 全ての工程に使われる蒸米

洗米後、お米に適量の水分を吸収させるためにお米を水に浸す「浸漬(しんせき)」を行い、それを甑(こしき)と呼ばれる桶に移したあと蒸気で過熱して「蒸米」を造ります。 蒸すことで熱による殺菌作用とお米の中のデンプン質を分解されやすい形にして麹菌が繁殖しやすい状態にします。
理想の蒸米は捌け(さばけ)が良くて外側は固く、内側は柔らかいもの、つまり「外硬内軟」である程度の固さを保ちながら表面がベタつかないものです。 蒸米は必要な温度まで冷却してから「麹(こうじ)用」「酛(もと) 用」「もろみ用」にと全ての酒造りの行程に使われます。

デンプンを糖分に
酒造りの根本となる麹造り

デンプンを糖分に〜酒造りの根本となる麹造り蒸米に麹菌を増殖させたものが「麹(こうじ)」です。 麹はお米のデンプンをブドウ糖に変える働きをします。
麹室(こうじむろ)で「種麹(たねこうじ)」と呼ばれる「黄麹菌(きこうじきん)」の胞子を蒸米に振りかけて、2日間ほどかけてお米の中で麹菌を繁殖させ米麹を造ります。 麹造りは酒造りの根本であり「1.麹 2. 酛(もと) 3.もろみ」と云われるように酒造りにおいてもっとも重要な要素で杜氏の熟練が求められる作業です。

糖分をアルコールに
お酒の元となる酒母造り
 
冷ました蒸米に米麹と水を加えて、酵母菌を大量に培養したものを「酒母(しゅぼ)」または「酛(もと)」といいます。 文字どおりお酒の母であり、お酒の元となるものです。

酵母は麹がデンプンをブドウ糖に変えたその糖分を分解してアルコールに変える微生物です。 そして酵母を純粋培養した酒母、酛をベースに麹、水、蒸米を数回に分けて加え「もろみ」を造ります。

糖化とアルコール発酵が同時に行われるもろみ造り

糖化とアルコール発酵が同時に行われるもろみ造り大きなタンクの中で造られる「もろみ」の中では、麹によるお米のデンプンの糖化(とうか)と酵母による糖のアルコール発酵とが同時に行われます。 これは並行複発酵と呼ばれ、日本が世界に誇る日本酒独自の発酵形式です。 また、もろみを造る過程で、麹や蒸米を一度に加えず、日を追って数回に分けて加えるのは酵母濃度の低下を防ぎ、雑菌の繁殖を抑えるためで、「初添(はつぞえ)、中添(なかぞえ)、留添(とめぞえ)」と3回に分けて仕込むので「3段仕込み」と呼ばれています。

もろみの3段仕込みは初添した翌日1日休んで、酵母の増殖を待つこの日を「踊(おどり)」と呼びますが、その翌日に中添、その翌日に留添を行うので合計4日間に渡ります。 酒母、麹、水を混ぜ、もろみを仕込み始めてからひと月ほど経つともろみの発酵が完了し、いよいよ搾りに入ります。

伝承の和釜槽搾り
軟らかくまろやかな純米酒に

  • 伝承の和釜槽搾り
  • 伝承の和釜槽搾り

じっくり低温発酵させて熟成したもろみを圧搾して、酒と酒粕に分離する作業工程を「上槽(じょうそう)」と呼びます。渡辺酒造では50年前くらいまでは一般的でしたが今では大変珍しい木製の搾り機を使用しています。タンクからポンプで送られたもろみを酒袋に詰め、槽(ふね)の中に並べていきます。この昔ながらの槽でなるべく圧力を掛けずにゆっくりゆっくりと搾っていくと、手間のかかる伝統的な和釜槽搾りならではの軟らかくまろやかな純米酒が出来上がります。どのようなタイミングでお酒を搾るかは、お酒の味を決める上で非常に重要なポイントで、もろみの状態、日本酒の種類、天候、成分分析値などをもとに搾りの時期を杜氏が判断します。

酒と酒粕に分離する搾りの行程でもろみを酒袋に詰めただけで自然にでてきたお酒を「荒走り(あらばしり)」、 酒袋を積み重ねた重みによって出てきたお酒を「中垂れ(なかだれ)」、 圧力をかけた翌日さらに酒袋の位置を変えて圧力をかけて搾りきったお酒を「責め(せめ)」というように、搾られる順番によってそれぞれ呼び名も付けられています。
搾ったお酒はタンクに移された後「滓引(おりひき)」、「濾過」、「火入れ」の工程を経て、出荷まで貯蔵されます。お酒はこの間に熟成し、まろやかで穏やかな美味しいお酒になります。

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